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【オオミズゴケ】湿原に群生する季節毎に彩りを変える蘚類の苔

【オオミズゴケ】とは、マゴケ植物門 ミズゴケ綱 ミズゴケ目 ミズゴケ科 ミズゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。湿原に群生して、季節毎に彩りを変えます。

世界中に分布し、日本でも北は北海道から南は九州まで、広く生育しているかなりポピュラーな苔です。その属名「ミズゴケ=水苔」が表わすとおり、非常に貯水性に優れていることから、園芸用としてよく利用されています。

ミズゴケ属は世界で150種ほど、日本でも47種が知られています。その中でもオオミズゴケは最大級の種で、茎の長さは10センチ以上となります。

全体的に淡黄色で黄色味を帯びることが多く、葉の色は黄褐色になることもあります。秋や冬になると中心部が赤褐色になるなど、季節でその色味を変えてもいきます。

茎の先端に葉がつき、茎葉は舌の形をしていて、その先端がささくれになっています。茎には鱗状の枝葉が1.5~2ミリくらいにつき、その枝葉は「透明細胞」と「葉緑細胞」からなっているのです。

この「透明細胞」が貯水性を持っていて、オオミズゴケの水を貯める重要な能力を生み出しているのです。これらの細胞を顕微鏡で観察すると、苔全体を眺めた時とはまた別の世界が見えてきて、なんとなく美しさを感じてしまうこともあるかもしれません。

しかし、世間一般にはオオミズゴケはそれほどきれいとは思われず、ランを栽培する時に使うコンポストには最適なため、園芸用の用土として重宝に利用され、その乱獲によって減少傾向にあるのです。更に、オオミズゴケが群落を作る湿地の環境悪化や土地開発によって、どんどんその姿を消していっているのです。

環境省のカテゴリでは、オオミズゴケ(ミズゴケ)として登録された種が、「準絶滅危惧(NT)」としてレッドデータとなっています。これは、すぐにも絶滅してしまうことはないものの、将来的には絶滅の危険性があるというレベルをいみしているのです。

生物種の保全状況は、絶滅(EX)を筆頭に、野生絶滅(EW)→絶滅寸前(CR)→絶滅危惧(EN)→危急(VU)→準絶滅危惧(NT)→軽度懸念(LC)とランク付けされています。日本全体でみれば、オオミズゴケの保全状況は下から2番目であるものの、都道府県別でみると状況はもっと悪いのです。

なんと、千葉県のオオミズゴケの保全状況は最悪の「絶滅(EX)」であり、青森県・宮城県・福島県・神奈川県・滋賀県・三重県・大阪府・山口県・愛媛県が「絶滅危惧(EN)」となっているのです。そして、「準絶滅危惧(NT)」に指定されているのは、15県にも及びます。

ミズゴケ属は遠い昔、青銅器時代から治療薬として使われてきたとされており、第二次世界大戦中も負傷した兵士の止血に使われたそうです。これは、ミズゴケの中に抗生物質のペニシリンが見つけられたペニシリウム(アオカビ)などの微生物がいて、負傷した部分の治癒に寄与しているということなのです。

また、昔は北部ヨーロッパなどでは、ミズゴケを主体とした湿地性植物が死んで堆積して炭化したものを、泥炭として燃料にしていました。泥炭ができた理由は、寒冷地で低温であったことが、死んだ植物を充分に分解できなかったためなのです。

貯水性に関して面白い話として、ラップ(スカンジナビア半島北部ラップランドなどの先住民族・サーミ人)やイヌイット(カナダ北部などの先住民族・エスキモー)の人々は、ミズゴケをオムツとして使うということです。