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【苔の育て方 その2】苔にはどんな土や肥料が合っているのか?

【苔の育て方 その2】として、”苔にはどんな土や肥料が合っているのか?”というポイントを見ていきます。結論から言うと、苔というものは土が無くとも育てることができて、基本的には肥料も要らないものなのです。

販売されているスナゴケやハイゴケの説明書きには、新聞紙一枚で育てることができるとしていることがあると言います。これは、苔が土から水や栄養分を補給しているわけではないことと関係しているのです。

水やりのところで説明したとおり、苔の根に見える所は「仮根」といって苔そのものが風などで飛ばされないように、地面に固定するためのものです。つまり、生育していくうえで土から「仮根」でもって水などを補給している訳ではないので、土は必要がないのです。

実際にトレイにネットを敷いた上にハイゴケを置いて、適度な水やりを行なえば、苔は充分に育っていくのです。苔を入れる(置く)容器は、スーパーでイチゴやスモモなどを入れて売っているプラスチックパックでもかまいません。

街中ではコンクリートの壁面に苔が生えているのを見かけることもありますし、日本庭園の庭石の上や山の岩場で群落する苔の姿も普通に見られる光景です。但し、当然のことながら水は栄養分は苔には必要なものですので、どこかからそれらが供給される環境としなければならないことは言うまでもありません。

そうは言っても、乾燥と湿潤の差が激しい環境下においては苔の生育は厳しいものなのです。そのため、土無しよりも培養土を使った環境の方が、苔はより育てやすくはなるというのは当然のことなのです。

スナゴケをネット・川砂・赤玉土の3条件で育てた実験がありますが、これでは水やりなどの手入れがとても良かったのか、いずれも何の遜色もなしにきれいな緑色に育っていました。

それでも苔を育てる初心者であれば、価格もさほど高くない赤玉土を使った方が管理は容易となります。また、見た目を考えた場合には、通気性にも優れた「山野草の土」を使ってみるのも良いでしょう。

苔にとって肥料は必要ないものというより、一粒たりとも与えてはいけないものと考えた方が正解です。ある人が、夏の日差しで元気の無いスギゴケにちょっとだけ油粕を肥料として与えたところ、その後に降った夕立で流され一箇所に溜まってしまい、苔を赤褐色に変色させてしまったといいます。

苔というものは単純な植物で、一時にたくさんの水分・栄養分を吸収することはありません。肥料など多すぎる栄養分は、かえって苔を蒸れさせたり腐らせたりしてしまうのです。

肥料に通常含まれている窒素・燐酸・カリウム・マグネシウムなどは、苔にとっては吸収できない栄養分であり、蒸れの原因となってしまいます。しかし、微量あればミネラルのマグネシウムであっても苔には良く、他にリンやカルシウムなどのミネラルも苔を育てるには良好です。

これらミネラルを栄養剤として苔に与えると、他の植物に肥料を与えるような効果を得ることができます。この栄養剤の役割に最適なのが「備長炭」と「オーキッドベース」という培地資材です。

備長炭が良いからと言って他の炭も全て良いかと言うとそうではなく、粗悪な炭には苔の生育に悪影響を及ぼす炭水化物類が混じっていることがあるので、充分な注意が必要です。

オーキッドベースは、備長炭と同じくらいの木炭硬度を持っていて、苔の緑色の向上・葉の厚さ向上・根張りの向上という効果があるとされています。ビール大麦の殻皮を乾燥・圧縮成型して高温で焼成した炭化物で、アサヒエコロジー株式会社の商品です。

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【苔の育て方 その1】苔にはどんなふうに水をやればいいのか?

【苔の育て方 その1】として、”苔にはどんなふうに水をやればいいのか?”というポイントを見ていきます。その基本は、自然の中にいるのと同じ環境で育てることにあり、雨が当たるベランダ園芸レベルで良いのです。

苔には水分を取り入れるための根というものがありません。見た目には根のようなものがあるのですが、あれは単に植物体を固定させるだけの「仮根」というものなのです。

では、苔はどうやって水分を植物体内に取り入れるのかというと、それは葉の部分からということになるのです。雨が降ると苔が元気を取り戻しているように見えるのは、乾燥して縮んでいた葉が目覚め、いっぱいの水分を補給できているからなのです。

基本的に苔への水やりは、自然の雨が降る程度に同じような状況で行なうのが良いのです。それはつまり、ベランダに苔を置いて自然の雨に当らせるくらいの軽い感じの育て方でも良いというレベルと言えるでしょう。

但し、お天気も気まぐれで、時によっては苔を疲弊させるほどに偏った状況になることもありますので、ちょっとは苔の様子を観察しながら、水分の調整をしてあげることも大事になってきます。

苔の様子がわかるのは春や秋の季節的に安定した良い時期に、日当たりや風通しの良い環境です。苔を一番良く育てさせるのは、”乾けばやる”といって乾いて葉が縮まった時に水を与えるという方法です。

苔の中には「ヤマゴケ(シラガゴケ類)」のように乾燥を好む種類もありますので、あまり水やりをすると成長が後退してしまうことがあります。逆に、通常の水分を好む苔では乾燥によって成長が阻害されてしまうものなのです。

苔はベランダ以外にも庭で育てたり(自然に群生していたり)と外で生育する場合と、苔玉や苔盆栽として室内で育てる場合があります。水やりは、外か室内かということでその方法は違ってきます。

外での水やりには、季節・地域・時間帯・水の量がポイントになってきます。苔の種類によって湿潤か乾燥を好むものがあり、季節や地域による温度・湿度の違い、土壌の保水力・排水性などが、水やりの良し悪しを左右するのです。

一日の中でいつ水やりをすればいいのかというと、日陰を好む苔は気にすることはないのですが、好日性の苔には早朝か夕方に水やりをしなければなりません。特に夏などは炎天下で蒸れや焼けを起こさないように水分を放出している状態にあるため、かわいそうだからといって水やりをするのは厳禁なのです。

季節的には、3月ともなれば苔も育ち始めますので、地域によっては最高気温10度を目安にたっぷりと水やりをしても良いでしょう。また、新芽は乾燥にとても弱いものですので、霜柱で土から浮き上がっている場合には、軽く踏んであげて水やり効果が出るようにしてあげなければなりません。

室内での苔への水やりには、季節か外気温の影響はまず考えられません。しかし、エアコンの有る無しに関わらず室内は基本乾燥気味であるため、通常の苔にとってはけっこう厳しい環境であると認識する必要があります。

手の平サイズの苔玉や苔盆栽であれば、こまめに霧吹きで水分を与えるというのもありかもしれません。しかし、できれば「腰水」といって苔の鉢を水を入れたお皿に浸したり、苔を保湿容器に入れてあげて、いつでも苔の周囲に湿気があるようにいてあげましょう。

なお、苔にやる水にもちょっとした心遣いが必要です。一般的には水道水を使うと思いますが、塩素抜きのために一昼夜は汲み置きすると良く、井戸水の場合は銅や鉄が混じっていないこと、雨水の場合は銅屋根を伝わったものでないことが使用する条件となります。

【オオミズゴケ】湿原に群生する季節毎に彩りを変える蘚類の苔

【オオミズゴケ】とは、マゴケ植物門 ミズゴケ綱 ミズゴケ目 ミズゴケ科 ミズゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。湿原に群生して、季節毎に彩りを変えます。

世界中に分布し、日本でも北は北海道から南は九州まで、広く生育しているかなりポピュラーな苔です。その属名「ミズゴケ=水苔」が表わすとおり、非常に貯水性に優れていることから、園芸用としてよく利用されています。

ミズゴケ属は世界で150種ほど、日本でも47種が知られています。その中でもオオミズゴケは最大級の種で、茎の長さは10センチ以上となります。

全体的に淡黄色で黄色味を帯びることが多く、葉の色は黄褐色になることもあります。秋や冬になると中心部が赤褐色になるなど、季節でその色味を変えてもいきます。

茎の先端に葉がつき、茎葉は舌の形をしていて、その先端がささくれになっています。茎には鱗状の枝葉が1.5~2ミリくらいにつき、その枝葉は「透明細胞」と「葉緑細胞」からなっているのです。

この「透明細胞」が貯水性を持っていて、オオミズゴケの水を貯める重要な能力を生み出しているのです。これらの細胞を顕微鏡で観察すると、苔全体を眺めた時とはまた別の世界が見えてきて、なんとなく美しさを感じてしまうこともあるかもしれません。

しかし、世間一般にはオオミズゴケはそれほどきれいとは思われず、ランを栽培する時に使うコンポストには最適なため、園芸用の用土として重宝に利用され、その乱獲によって減少傾向にあるのです。更に、オオミズゴケが群落を作る湿地の環境悪化や土地開発によって、どんどんその姿を消していっているのです。

環境省のカテゴリでは、オオミズゴケ(ミズゴケ)として登録された種が、「準絶滅危惧(NT)」としてレッドデータとなっています。これは、すぐにも絶滅してしまうことはないものの、将来的には絶滅の危険性があるというレベルをいみしているのです。

生物種の保全状況は、絶滅(EX)を筆頭に、野生絶滅(EW)→絶滅寸前(CR)→絶滅危惧(EN)→危急(VU)→準絶滅危惧(NT)→軽度懸念(LC)とランク付けされています。日本全体でみれば、オオミズゴケの保全状況は下から2番目であるものの、都道府県別でみると状況はもっと悪いのです。

なんと、千葉県のオオミズゴケの保全状況は最悪の「絶滅(EX)」であり、青森県・宮城県・福島県・神奈川県・滋賀県・三重県・大阪府・山口県・愛媛県が「絶滅危惧(EN)」となっているのです。そして、「準絶滅危惧(NT)」に指定されているのは、15県にも及びます。

ミズゴケ属は遠い昔、青銅器時代から治療薬として使われてきたとされており、第二次世界大戦中も負傷した兵士の止血に使われたそうです。これは、ミズゴケの中に抗生物質のペニシリンが見つけられたペニシリウム(アオカビ)などの微生物がいて、負傷した部分の治癒に寄与しているということなのです。

また、昔は北部ヨーロッパなどでは、ミズゴケを主体とした湿地性植物が死んで堆積して炭化したものを、泥炭として燃料にしていました。泥炭ができた理由は、寒冷地で低温であったことが、死んだ植物を充分に分解できなかったためなのです。

貯水性に関して面白い話として、ラップ(スカンジナビア半島北部ラップランドなどの先住民族・サーミ人)やイヌイット(カナダ北部などの先住民族・エスキモー)の人々は、ミズゴケをオムツとして使うということです。

【ハイゴケ】自然の中の黄緑色のマット・園芸用の便利アイテム

【ハイゴケ】とは、マゴケ植物門 マゴケ綱 ハイゴケ目 ハイゴケ科 ハイゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。自然の中で黄緑色のマットを形成するので、園芸用の便利アイテムとして重宝されています。

漢字では「這苔」となり、その這うように平らな群落を作っていく匍匐性の性質をよく表しています。日本全国で日当たりの良い道端・岩の上・土手・山地・樹幹の下部など、湿度のある所であれば空気のよどみさえなければよく育ちます。

海外では、シベリア・東アジア・東南アジア・ハワイなどの多く分布し、良く使われる園芸での名称を含め、「カバー・モス」・「ヤネゴケ」・「屋根苔」・「苔玉苔」など多くの呼び名を持っています。

園芸においては、苔庭・苔盆栽・苔玉・苔テラリウムとその利用範囲は非常に幅広く、生きたままで販売される苔としては最も手に入り易く価格もお手頃なのです。乾燥に強いため半乾燥状態で販売されるものもあり、完全乾燥のうえ着色した「山ゴケ」という商品は、リースやバスケットなどの装飾用としても販売されています。

茎葉の上側が鎌の形をしていて、基部はハート形、蒴(胞子嚢)は3~5センチで湾曲して水平につきます。また、葉の基部にコウモリの翼に似た「翼細胞(よくさいぼう)」という細胞群があるのが他の苔との見分けになる特徴となっています。

植物の中には「アレロパシー(他感作用)」という、他の植物の生長を抑える物質を放出するなどの作用を起こすものがあります。例えば、セイタカワダチソウの根から出るシスデヒドロマトリカリアエステル、クルミの葉や根から出るジュグロン、桜の葉から出るクマリンなどという物質がその作用を起こします。

他にも松・蕎麦・ヨモギ・アスパラガス・彼岸花・レモンなど身近な植物でこのアレロパシーを行なうことが知られていますが、なんとハイゴケにもこの作用が認められ、研究によって他の植物の生長を抑制する物質モミラクトンが含まれているのがわかったのです。

つまり、ハイゴケには雑草の発生を抑えて生育していく能力があり、他の苔よりも比較的管理が容易であるということなのです。そのため、ハイゴケが他の苔や芝生などまで増えていった時には、それらが駆逐されてしまわないように、ハイゴケを取り除く必要があります。

苔は自分で育てるのも良いですが、じっくりと名所で鑑賞もしてみたいものです。苔の名所と言えば京都、その中でもハイゴケの名所としては、「大徳寺・高桐院」・「高台寺・圓徳院」・「曼珠院」などがあげられます。

「大徳寺・高桐院」は、京都市北区紫野にある臨済宗のお寺です。ここのハイゴケは、細川忠興・ガラシャ夫妻の墓である千利休の愛した灯篭の裾を美しく覆って、夫妻の安寧を守っているようです。

「高台寺・圓徳院」は、京都市東山区にある臨済宗のお寺の塔頭のひとつで、豊臣秀吉の正室ねねが晩年を過ごしました。ここのハイゴケは、石畳との絶妙なコラボレーションが美しい光景を見せてくれます。

「曼珠院」は京都市左京区一乗寺にある天台宗のお寺で、皇族が住職を務める竹内門跡となっています。ここのハイゴケは、正門付近の土手を美しく飾り、紅葉の時期には苔の緑が紅葉の彩りとの共演を見せてくれます。

【獅子ヶ鼻湿原】不思議な苔「鳥海マリモ」が密生する苔のスポット

【獅子ヶ鼻湿原】とは、「日本蘚苔類学会」が「日本の貴重なコケの森」に選定した苔のスポットです。場所は、秋田県にかほ市象潟町中島台で、不思議な苔「鳥海マリモ」が密生しています。

ここへのアクセスはかなり大変で、最寄りのJR東日本羽越本線の象潟(きさかた)駅からは15キロほどあり、歩くと2時間半以上、車でも30分近くはかかってしまいます。公共の交通機関としては、完全予約制の観光乗合タクシーがあるくらいです。

観光乗合タクシーは2名以上の予約で一人4千円、象潟駅から8時台・11時台・13時台の3便があります。運行時間が限定されているため、「合資会社象潟合同タクシー」への確認したほうが間違いはないでしょう。

高速で東京方面から行く場合は、東北道の北上ジャンクションで秋田道に入り、秋田道の河辺ジャンクションから日本海東北自動車道に入り、象潟インターチェンジが最寄りの出口となっています。この象潟ICは象潟駅から獅子ヶ鼻湿原へのルートの途中になっていて、ここからは車で20分ちょっとで行けるのです。

このスポットは「鳥海山獅子ヶ鼻湿原植物群落及び新山溶岩流末端崖と湧水群」として国の天然記念物にも指定されていて、苔の森の湿原の他、「森の巨人たち100選」に選ばれた幹回り日本一の奇形ブナ「あがりこ大王」を見ることもできます。

ここは「中島台レクリエーションの森」という観光地となっていて、県道58号沿いから入った散策コースが広がっているのです。管理棟を過ぎた二股の道(ひとつは10分、もうひとつは15分)を歩いて行くと、再び吊橋の手前で合流します。

吊橋を渡り18分歩くと道は3つに分かれ、左の道を10分行けば「あがりこ大王」、真ん中の道を行くと途中に湧水(出つぼ)があり10分で水路の外れ、ここから14分ほどの左手がブナの原生林となっています。ここから10分ほど戻れば岩場に辿り着き、この岩場へは3分岐点の右の道を15分歩いても行き着けます。

右の分岐道から岩場までの左手に「鳥海マリモ」の群生地があり、この一円が獅子ヶ鼻湿原となっているのです。この森の入り口付近にある売店には、湿原のガイドマップが置いておりますので、ぜひともそれを参考に散策してみてください。

水路や湧水池の中を覗くと、「鳥海マリモ」と名付けられた、稀参種のハンデルソロイゴケやヒラウロコゴケなどの1m以上にもなる塊が生息しているのです。他にも、ニセオオミズゴケなどのミズゴケ類4種、普通は標高千m以上に生育するシモフリゴケやカギハイゴケなどが見られ、学術的にもとても貴重なものです。

中でもヒラウロコゴケという種は、日本ではここ以外には八ヶ岳だけに、海外でもスペイン・イタリア・トルコなどの地中海沿岸だけに生息する、本当に貴重な苔だといいます。この「鳥海マリモ」の不思議な姿は、50年から百年という長い期間を経て形作られているのです。

「あがりこ大王」は推定樹齢3百年以上、幹回りが7.62mと周辺の木々を圧倒する威容を漂わせています。

【苔玉】心安らぐインテリアの定番・鉢の要らない盆栽のようなもの

【苔玉】とは、植物の根を肥料を混ぜた土(用土)でボール状にし、その表面に苔を貼り付けたものです。心安らぐインテリアの定番であり、鉢の要らない盆栽のようなものなのです。

緑化にも利用されるスナゴケやハイゴケ、それにシラガゴケ類が主な苔玉の材料です。つまり、苔玉は小さな存在ではありますが、緑化に繋がる重要なアイテムでもあるのです。

盆栽では鉢の中を小さな地面に見立てて、土を用いた草木の育成を行ないますが、その鉢の中に根を隙間なく張り巡らせる「根洗い」という手法が、苔玉構造の基本となっています。張り巡らされた根は鉢が無くともその形を保てるため、根に土ごと糸を巻きつけて球状にして苔玉に生まれ変わらせます。

元々苔盆栽に熟通した海地勲さんが、2002年以前から苔玉を作り始めていて、日本各地で苔玉教室を開いて苔玉を広めているのです。そんなこともあって、苔玉は苔ブームの重要な1ジャンルとなっているのです。

今ではブームに乗って、苔玉は簡単に購入することができるうえ、それを作るキットも多数販売されています。しかし、もう少し苔玉に凝ってみたい人は、自分で材料を準備して作ってみるのも良いでしょう。

まず準備するものは、葦(あし/よし)が長い時間かけて堆積してできたというケト土をソフトボール大、自分好みの苔、盆栽なので植え込む植物としての観葉植物か山野草、小粒の赤玉土・山野草の土・テグス糸或いは黒い化繊糸となります。

手始めにケト土7に対して赤玉土を3の割合で混ぜ合わせてこねるのですが、この時にケト土に混じりこんでいる小枝・ゴミなどを除去しておきます。そして、耳たぶくらいの軟らかさになるまでこねたら、自分の思い描く完成形より若干小さめの泥団子にしましょう。

次に泥団子の上に窪みを付けてお椀上にし、そこに山野草の土を入れ準備した植物を植えこむのです。この時、山野草の土の量の入れ過ぎには要注意で、植え込む植物の伸びすぎたり傷んだりした枝葉はカットしておきましょう。

植物の植え込みで大事なことは、これが盆栽で目で楽しむものだということです。どの方向から鑑賞するのかを考え、正面となる方が最も美しく見えるようにバランスを考えて植えていきましょう。

次に苔玉のメインでもある苔の貼り付けですが、この苔は必ずしも1種類でなくともかまいません。購入してもよいですが、自宅近くにあるものですませてもまったく問題は無く、違う種類の苔を使うとかえって趣きが出てくるものです。

泥団子全体に苔を貼ったら、剥がれてこないようにテグス糸などでしっかりと固定します。ひと巻き目はX字に巻き、少しずつずらしながら全体を固定するのです。

苔玉が完成したら、好みのお皿などに飾って、お皿の水を切らさないように霧吹きを使って水を供給してあげましょう。苔の種類によっても違ってきますが、水やりは毎日とも2~3日置きとも言われていますが、苔の緑が美しい状態を保つように適度にやるのが良いのです。

苔玉をそれほど大きくしなくても良いのであれば、手の汚れるケト土を使う必要はありません。また、テグス糸などで固定する前に泥団子を布で包むという方法もあります。

今では、まったく土を使わない苔玉というものも存在していますが、苔の根を張る下地が紙や布を使うため、苔以外の植物の植え込みはできず、盆栽のようにすることはできません。それでも、苔だけでも楽しめるという人には、この「無土栽培」というものでも充分と言えるのです。

【スナゴケ】苔玉などに使われる日本全国にある長卵形の蘚類の苔

【スナゴケ】とは、マゴケ植物門 マゴケ綱 ギボウシゴケ目 ギボウシゴケ科 シモフリゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。苔玉などに使われ、日本全国にも広く分布し、長卵形をしています。

漢字で書くと「砂苔」となり、その字が表わすとおり砂地に生える苔という意味を持っています。なにか殺風景なイメージを持った名前ですが、意外にもその花言葉は優しく深いもので「母の愛」とされているのです。

通常は日当たりが良くて湿っている土の上や岩の上に群落をつくりますが、土が無くても育てることができるので、緑化のための資材として人気となっています。スギゴケとは違って花びらのような形の黄緑色の葉は、本当に花が咲いたようにも見えてしまうのです。

時にはハチが間違えて集まって来たという話もあるようで、ただの緑化のための材料だけでなく、花のように愛でるために栽培してみるのもいいかもしれません。園芸用としては、「エゾスナゴケ」をスナゴケとして扱うことが多く、他には「コバノスナゴケ」・「ナガエノスナゴケ」なども使われることもあります。

スナゴケは比較的栽培の容易な苔と言われています。それは、スギゴケなどの一般的な苔と比べた場合、その特徴が少し違っているからです。

例えば、一般的な苔は日陰或いは日陰を好みます北向きに生育しやすいのですが、スナゴケは日向を好み南向きになると元気が出ます。そして、苔には必須の水分・湿気に関しても、一般的な苔に比べて乾燥に強いという利点があるのです。

これは、周囲環境が乾燥してくると、それまで花のように開いていた葉を筆のように閉じて、まったく別物の様な形状でガードに入るのが功を奏しているのです。こうしてスナゴケは、暑い場所だけでなく寒さにも強く、砂以外にも石・ガラスなどの無機質の基盤であっても活きていくことができるスグレモノとなっているのです。

スナゴケを使った緑化事業は多くの企業で行われていて、それぞれに特徴のあるアイテムが生み出されています。例えば、「屋上・屋根用コケボード」・「モスフラット」・「モスコート」などがあります。

「屋上・屋根用コケボード」とは、「モス山形」という企業のもので、高強度発砲スチロールとスナゴケを一体化させたものです。自分の20倍もの水を保つことができるスナゴケの能力を最大限に生かして、トタン屋根・折板屋根・スレート屋根・駐車場などの緑化に効果を発揮するそうです。

「モスフラット」とは、「菱井商事株式会社」という企業のもので、スナゴケやハイゴケを使った超軽量の苔モジュールです。屋上の緑化はもちろんのこと、建物壁面にも最適で、公園・庭園・道路中央分離帯・道路防音壁や法面・河川敷法面と、幅広く採用することができると言います。

「モスコート」とは、「株式会社パレス」という企業のもので、スナゴケを使った室内緑化パネルです。裏面にマグネットが付いているので設置・移設が簡単で内装制限に対応、水やりや刈込み不要の手間いらず、苔のきれいな緑色がリラックス効果を発揮して、心を癒してくれることでしょう。

【スギゴケ】日本庭園によく使われる緑鮮やかな杉の葉に似た蘚類の苔

【スギゴケ】とは、マゴケ植物門 スギゴケ綱 スギゴケ目 スギゴケ科 スギゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。日本庭園によく使われ、緑鮮やかで杉の葉に良く似ています。

スギゴケはスギゴケ属の1種を表わす標準和名ですが、この属と近縁のニワスギゴケ属或いはスギゴケ科の全てをスギゴケと総称するのが一般的で、漢字で「杉苔」とも表わされます。園芸では、「ウマスギゴケ」と「オオスギゴケ」のことをスギコケとして扱っています。

広い意味でのスギゴケは、23属約400種あり、日本では6属約30種が分布しています。スギゴケ属とニワスギゴケ属以外には、「タチゴケ属」・「フウリンゴケ属」・「ネジクチスギゴケ属」・「タチゴケモドキ属」などがあります。

日本では比較的海抜の高い場所に自然繁殖していて、通常見られるものは「コスギゴケ」というものが多いようです。この種は明るい場所に大きな群落を作ることが多く、深い山林の中ではなく、人の住む場所の近くで見つけやすくなっています。

コスギゴケは小型で茎が1~4センチくらいまで成長して止まりますので、意外と育てるには管理しやすいものとなっています。葉の色は青みを帯びた白緑色で、乾燥するとその縮れ方が激しく、ちょっとかわいいところがあります。

この種は充分に湿度を保った用土(肥料などを調合した土)を用いることで、けっこう簡単に育てることができます。また、ちょっとしたところにも繁茂しているので、購入せずに自前で採集してくることも可能なのです。

日本庭園でよく使われるものは、園芸と同様にウマスギゴケとオオスギゴケと言われています。これらの種の茎が5~20センチにまで成長する大型のもので、葉は日当たりの良い場所で育ったものは小型で黄緑色となりますが、生育環境で違いが出てくるという面白さがあります。

自然の中では山の急斜面で岩盤の多い所を好むようなので、苔の庭などでは石組みとよくマッチして、素敵な風景を演出してくれるのです。園芸用で販売されていますので、簡単に入手することができます。

自宅で育て始める場合には、一旦育苗箱である程度培養して、土に定着したと見られた頃に露地へ移植した方が、定着率は高くなります。こうして露地に定着したスギゴケはぐんぐんと成長していき、密生し過ぎてしまうほどになります。

このような状況では新芽が伸びにくくなり、やがて見た目が悪くなっていきます。そのため、なるべく成長し過ぎないように普段から底の平たい履物で「コケ踏み」という作業を行っておくと良いでしょう。

湿気の必要な苔には水撒きが必須ですが、通常の草花同様に日中の水撒きは日焼けの原因となるのでご法度です。日中スギゴケは強い日差しを避けて葉を閉じていますので、水撒きは朝か夕方の一日一回で充分です。

コケ植物は花を咲かせない隠花植物ですが、子孫を増やすための「さく」と呼ばれる「胞子嚢」が花のように見えます。スギゴケでは梅雨の時期になるとこのさくが雌株のさきから伸びてきて、本当に花が咲いたかのようにきれいに見えるのです。

【京都市東山山麓】南禅寺から銀閣寺まで連なる苔のスポット

【京都市東山山麓】とは、南禅寺~熊野若王子~法然院~銀閣寺(慈照寺)まで連なる、「日本蘚苔類学会」が「日本の貴重なコケの森」に選定した苔のスポットです。場所は、京都府京都市左京区浄土寺から北白川の間です。

京都という歴史溢れる景観と、それほどめずらしいものではない普通の苔とのコラボレーションが、自然と心を癒してくれる空間が広がります。それなりに大都市でもある京都の町に近いにも関わらず、たくさんの苔が繁茂している様はどの場所も圧巻です。

特に南禅寺・法然院・銀閣寺の苔庭は、一見の価値がとても高いのです。また、この一帯へのアクセスはすごく簡単で、苔の景観を気軽に楽しみたい人にはピッタリと合っています。

南禅寺へは、京都市営地下鉄東西線の蹴上(けあげ)駅から徒歩5分、京都市営バスではお寺まで徒歩6~10分の範囲に3つのバス停があります。車を利用する場合には、京都東インターから6キロほど、中門手前に第1駐車場があり、乗用車は南禅会館前、観光バスは勅使門前への駐車となります。

南禅寺の境内には、小堀遠州作とされる枯山水の「方丈庭園(虎の子渡しの庭)」・管長柴山全慶老師が作庭した枯山水の石庭「小方丈庭園(如心庭)」・仏教の生まれ変わりを繰り返す世界観を表わす「六道庭」があります。

この六道庭には、一面にスギゴケが繁茂した景石が配置され、その景観から煩悩に迷い、いつまでも悟りを開くことができずにいる人間のはかなさを感じさせます。逆にそのはかなさが、ありふれた人間の心を癒してもくれるのです。

拝観志納金として、「方丈庭園」と重要文化財の「三門」には一般個人で500円、別院の「南禅院」で一般個人で300円が必要です。

法然院へは南禅寺から歩くと19分ほどかかりますが、途中「野村美術館」・「住友資料館」・「泉屋博古館(せんおくはくこかん)」などの見学場所に立ち寄ることもできます。直接行くには、京都市営バスの場合お寺まで徒歩3~10分の範囲に3つのバス停がありますが、車だと駐車スペースがたった2台のためお薦めできません。

このお寺の山門の屋根はびっしりと苔に覆われていて、入る前から苔スポットのすごさを感じさせてくれます。そして、中の庭にはハイゴケ・オオスギゴケが一面に生え、木々の周囲にはヒノキゴケの群落が密生して木の根元を隠しています。

境内の拝観は無料で自由に散策ができますが、建物内は通常非公開となっていて、年に2回だけ有料で一般公開されています。

銀閣寺へは法然院から歩いて8分ほどで行くことができます。直接行くには、京都市営バスの「銀閣寺前」バス停から徒歩6分、京都バスの「銀閣寺道」バス停から徒歩10分で行け、車の場合は近くの市営駐車場を利用しなければなりません。

銀閣寺の庭園は池泉回遊式庭園で、特別史跡・特別名勝になっていて、「苔寺」の西芳寺の庭園を模したものと言われています。広大な苔の庭園にはウマスギゴケやスナゴケが繁茂し、その緑色と敷きつめられた白砂のコラボレーションが見る人の心を和ませてくれます。

拝観料は大人と高校生で500円ですが、「銀閣」としてこのお寺のシンボルにもなっている「観音殿」の中を見ることはできません。

【苔寺】境内いっぱいに広がる緑の苔の絨毯に包まれた西芳寺

【苔寺】とは、境内いっぱいに広がる緑の苔の絨毯に包まれた「西芳寺(さいほうじ)」のことです。京都府京都市西京区松尾にある臨済宗のお寺で、世界遺産に登録され、一般には「苔寺」として知られています。

西芳寺の庭園は、鎌倉時代から室町時代の初めの臨済宗のお坊さん・夢窓漱石によって設計され、特別名勝と史跡になっています。夢窓の設計した庭園は外にも京都市の世界遺産「天龍寺庭園」・国の名勝の岐阜県の「永保寺庭園」・神奈川県の「瑞泉寺庭園」などがあります。

元々西芳寺庭園は上段の枯山水と下段の池泉回遊式庭園の2形式を合わせたものでしたが、現在では上段は石組みが残るだけで、下段の苔の庭が広く苔寺として有名になっているのです。

苔の庭と言われるとおり、庭園に入ると通路を除く地面は全て苔に覆われていて、「緑の絨毯」というたとえがそのまま当てはまるような光景を目の当たりにします。しかし、この庭を作った頃は苔寺という構想は無く、庭園の環境によって自然に苔が育ち始めたのだということなのです。

庭園の中心となる「黄金池」が木立の中でその存在感を溢れさせ、その周囲と池の中の3つの小島(朝日ヶ島・夕日ヶ島・長島=霧島)もたくさんの苔で埋め尽くされている状況です。

かつては、池の周辺に「瑠璃殿」・「釣寂庵」・「湘南亭」・「潭北亭」・「貯清寮」・「邀月橋」・「合同船」といった建築物があったといいます。現在では「湘南亭」だけが残っており、その建屋と周囲の苔の絨毯とを合わせたたたずまいを堪能できます。

ここで見ることができる苔として具体的に上げられているものには、苔類の「ジャゴケ」、蘚類の「ハイゴケ」・「シラガゴケ」・「ホソバオキナゴケ」・「ミズゴケ」などがあります。通常ここに繁茂する苔の種類は、100種以上とも120種以上とも言われています。

少し古い調査データ(平成12年)では、苔類で「チャボマツバウロコゴケ」・「ヤマトムチゴケ」・「チャボホラゴケモドキ」など60種、蘚類で「オオミズゴケ」・「イクビゴケ」・「ヒメタチゴケ」など104種、ツノゴケ類で「ニワツノゴケ」の1種が確認されていました。この時点では、165種もの苔が繁茂していたのです。

西芳寺へは、阪急電鉄だと嵐山線松尾大社駅から歩いて17分くらい、JR京都駅か京阪三条駅から京都バスを利用すると、バス停「苔寺・すず虫寺」からすぐに行くことができます。車を利用する場合は、お寺から徒歩10分位の嵐山線沿線に「苔寺観光駐車場」があります。

苔好きならぜひとも一度は見てみたい苔寺ですが、少々難しいところもあります。”拝観”するには往復はがきによる希望日を予約が必要で、時間を指定することはできません。

また、時間が無ければ省略すること可能ですが、写経などの宗教行事に参加しなければ庭園の見学はできず、写経冥加料として三千円が必要という点もちょっと痛いところでしょう。

見頃は何と言っても紅葉の時期で、秋に行くのが最高です。それに、写経などで時間調整されているためか、人気の庭園であってもそれほど混雑していないということを話す訪問者もいるのです。