【スギゴケ】日本庭園によく使われる緑鮮やかな杉の葉に似た蘚類の苔

【スギゴケ】とは、マゴケ植物門 スギゴケ綱 スギゴケ目 スギゴケ科 スギゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。日本庭園によく使われ、緑鮮やかで杉の葉に良く似ています。

スギゴケはスギゴケ属の1種を表わす標準和名ですが、この属と近縁のニワスギゴケ属或いはスギゴケ科の全てをスギゴケと総称するのが一般的で、漢字で「杉苔」とも表わされます。園芸では、「ウマスギゴケ」と「オオスギゴケ」のことをスギコケとして扱っています。

広い意味でのスギゴケは、23属約400種あり、日本では6属約30種が分布しています。スギゴケ属とニワスギゴケ属以外には、「タチゴケ属」・「フウリンゴケ属」・「ネジクチスギゴケ属」・「タチゴケモドキ属」などがあります。

日本では比較的海抜の高い場所に自然繁殖していて、通常見られるものは「コスギゴケ」というものが多いようです。この種は明るい場所に大きな群落を作ることが多く、深い山林の中ではなく、人の住む場所の近くで見つけやすくなっています。

コスギゴケは小型で茎が1~4センチくらいまで成長して止まりますので、意外と育てるには管理しやすいものとなっています。葉の色は青みを帯びた白緑色で、乾燥するとその縮れ方が激しく、ちょっとかわいいところがあります。

この種は充分に湿度を保った用土(肥料などを調合した土)を用いることで、けっこう簡単に育てることができます。また、ちょっとしたところにも繁茂しているので、購入せずに自前で採集してくることも可能なのです。

日本庭園でよく使われるものは、園芸と同様にウマスギゴケとオオスギゴケと言われています。これらの種の茎が5~20センチにまで成長する大型のもので、葉は日当たりの良い場所で育ったものは小型で黄緑色となりますが、生育環境で違いが出てくるという面白さがあります。

自然の中では山の急斜面で岩盤の多い所を好むようなので、苔の庭などでは石組みとよくマッチして、素敵な風景を演出してくれるのです。園芸用で販売されていますので、簡単に入手することができます。

自宅で育て始める場合には、一旦育苗箱である程度培養して、土に定着したと見られた頃に露地へ移植した方が、定着率は高くなります。こうして露地に定着したスギゴケはぐんぐんと成長していき、密生し過ぎてしまうほどになります。

このような状況では新芽が伸びにくくなり、やがて見た目が悪くなっていきます。そのため、なるべく成長し過ぎないように普段から底の平たい履物で「コケ踏み」という作業を行っておくと良いでしょう。

湿気の必要な苔には水撒きが必須ですが、通常の草花同様に日中の水撒きは日焼けの原因となるのでご法度です。日中スギゴケは強い日差しを避けて葉を閉じていますので、水撒きは朝か夕方の一日一回で充分です。

コケ植物は花を咲かせない隠花植物ですが、子孫を増やすための「さく」と呼ばれる「胞子嚢」が花のように見えます。スギゴケでは梅雨の時期になるとこのさくが雌株のさきから伸びてきて、本当に花が咲いたかのようにきれいに見えるのです。