【苔の日本庭園】苔・紅葉・萩・竹と四季折々の箱根美術館の庭園

【苔の日本庭園】とは、苔・紅葉・萩・竹と四季折々の箱根美術館の苔庭「神仙郷」のことです。神奈川県足柄下郡箱根町にあり、11月の紅葉の頃には苔の緑とモミジの赤のコントラストが絶景です。

日本庭園のランキングでは、日本庭園の全てが味わえると言われる島根県「足立美術館」、涙が出るほど美しいと評価される京都府「桂離宮」、松を基調として花の美しい山梨県「湯村常盤ホテル」などが上位を占めています。

以下、京都府「御所西 京都平安ホテル」・東京都「山本亭」・福井県「養浩館庭園」・京都府「無粼菴」・島根県「佳翠苑皆美」・香川県「栗林公園」・広島県「庭園の宿 石亭」などが続きます。

これらの日本庭園では、全体の出来上がりとしての素晴らしさはもちろん逸品なのでしょうが、その中で苔は一要素を占めているだけで、「苔の日本庭園」と呼ぶには少し力量不足かもしれません。

その点、箱根美術館の苔庭「神仙郷」は「苔の日本庭園」と呼ぶにふさわしい苔スポットと言えます。そこには種の数では日本一の多さとされる130種ほどの苔と、200本のモミジが饗宴し、訪れる人の目と心を和ませているのです。

ここで見ることができる苔は、スギゴケ・タチゴケ・ヒノキゴケ・コツボゴケ・エビゴケ・フデゴケ・ホソバミズゴケ・ホソバオキナゴケ・ジャゴケ・ヒメジャゴケ・ヒジキゴケ・シノブゴケ・ハイゴケ・エダツヤゴケ等々、書ききれるものではありません。

漢字で表わすと、杉苔・立苔・檜苔・小壺苔・海老苔・筆苔・細葉水蘚・細葉翁苔・蛇苔・姫蛇苔・鹿尾菜苔・忍苔・這苔・枝艶蘚となり、何となくその姿を想像できることと思います。この愛らしい苔の姿を入れ込んだ庭の光景は素晴らしく、撮影スポットとしての知名度は群を抜いているのです。

苔庭の広さは千九百平米、渓流や垣根に包まれた癒しの空間を形作っています。庭に面した茶室「真和亭」では、無農薬栽培の抹茶と季節に合わせた和菓子を楽しむことができ、一層現実世界を離れた癒しの世界へ入って行ける気がしてくることでしょう。

正確に言うと「神仙郷」は「苔庭」と「萩の道」・「竹庭」などから構成されており、それぞれに四季を感じさせる景観を見せてくれます。全体として最も見頃の時期が11月で、苔とモミジの緑と紅葉の色づきがきれいなのです。

「苔庭」は新緑の春、雨に煙った不思議な梅雨時も充分に見頃で、秋の紅葉の時期になって最高のレベルに達するのです。一方、「萩の道」は9月中下旬辺りが特に見頃となり、「竹庭」は美術館本館とコラボレーションした調和のとれた景観を見せてくれます。

箱根美術館へは、新幹線ならJR東海道線小田原駅から箱根登山鉄道に乗り換え強羅駅まで行き、ケーブルカーで公園上駅を降りるとすぐです。小田急ロマンスカーを利用する場合は、箱根湯本駅での乗り換えとなります。

車を利用する場合には、小田原駅から40分、東名御殿場インターチェンジからは1時間ほど、東名厚木道路の箱根新道湯本出口からは2時間ほどかかります。駐車場は無料で、9時から17時まで開いていますが、大型バスの場合は事前に確認が必要です。