【黒山三滝】多くの文化人に愛された鉱泉宿近くの苔スポット

【黒山三滝】とは、「日本蘚苔類学会」が「黒山三滝と越辺川源流域」として「日本の貴重なコケの森」に選定した苔のスポットです。場所は埼玉県入間郡越生町黒山で、多くの文化人に愛された鉱泉宿近くにあります。

黒山三滝へは、電車なら東武越生線とJR八高線の越生駅から川越観光バス「黒山」行きで終点まで行き、そこから徒歩で15分ほどで行くことができます。車の場合は、関越自動車道の鶴ヶ島インターチェンジから40分、東松山インターチェンジから30分ほどで行くことができます。

黒山とは、東京の青梅市と奥多摩町、埼玉の飯能市に跨る標高842.3mの山です。通常は隣接する高水三山や棒ノ折山へ登るための通過点となっていて、この山へだけ行く目的としては三滝を見るためのハイキングがあります。

三滝とは、荒川水系越辺(おっぺ)川源流部の三滝川にある、男滝(おだき)・女滝(めだき)・天狗滝の3つを表わしています。県立黒山自然公園内にあり、「新日本観光百選」の「瀑布の部」で9位にランクインしたこともある、紅葉の名所でもあります。

男滝の落差は10m、その1段下に落差5mの女滝があり、その下流の少し離れた所に落差20mの天狗滝があります。滝の周辺は室町時代から続く山岳宗教修験道の拠点となっていて、複数の宗教施設が建てられれて修行の場になっているのです。

三滝へ行く手前には「黒山鉱泉」という温泉地があり、古くから小説家の田山花袋・詩人の野口雨情・国文学者の佐佐木信綱など、実に多くの文化人に愛されていました。

黒山は苔類のミドリホラゴケモドキの基準標本の産地になっていて、他に苔類ではトサハネゴケ・ニセヤハズゴケ・カビゴケ・ナガシタバヨウジョウゴケ、蘚類ではツガゴケ・キヨスミイトゴケ・ヘリトリシッポゴケ・ミギワイクビゴケ・ヒロハチャイロホウオウゴケなどが生育しています。

ミギワイクビゴケは、全国的には「絶滅危惧」指定で、福島県・栃木県・愛媛県で「絶滅危惧」指定になっています。

カビゴケは、全国的には「準絶滅危惧」指定で、福島県・栃木県・埼玉県・愛知県・京都府・大阪府・島根県・岡山県・山口県・愛媛県で「絶滅危惧」指定になっています。また、千葉県・三重県・広島県・福岡県・大分県・長崎県・宮崎県で「準絶滅危惧」指定になっています。

ツガゴケは、埼玉県・神奈川県で「絶滅危惧」指定になっていて、福島県・栃木県・千葉県・大阪府で「準絶滅危惧」指定になっています。そして、キヨスミイトゴケは、宮城県・栃木県・埼玉県・神奈川県で「絶滅危惧」指定になっていて、福島県・千葉県・長崎県で「準絶滅危惧」指定になっているのです。

ミドリホラゴケモドキ・トサハネゴケは埼玉県の「絶滅危惧」指定、ニセヤハズゴケ・ナガシタバヨウジョウゴケは千葉県の「絶滅危惧」指定になっているのです。そして、ヘリトリシッポゴケは、愛知県の「絶滅危惧」指定になっているのです。

以上のように黒山三滝に生息する苔の多くは、日本各地で絶滅が心配される状況にあり、とてもめずらしいものとなっているのです。