【松濤園】池上本門寺のミカヅキゼニゴケが可愛い苔スポット

【松濤園(しょうとうえん)】とは、東京都大田区池上にある日蓮宗の大本山の池上本門寺の奥庭です。4千坪もの敷地の随所に苔が繁茂し、ミカヅキゼニゴケが可愛いと思うマニアがいるほどの苔スポットなのです。

この庭園は、豊臣秀吉・秀長(秀吉の弟)・秀保(秀吉の甥)・徳川家康に仕えた大名で、茶人として有名な小堀遠州が作庭したもので、西郷隆盛と勝海舟が江戸城明け渡しの会見をした場所としても知られています。

平成3年に園内の改修が行われ、「根庵」・「鈍庵」・「松月亭」・「浄庵」という4つの茶室があります。湧き水の出る池を中心に、その周りに州浜・織部井戸・船付場・鶴島・亀島・魚見岩・太鼓橋など、滝口には渓流と渓谷・沢渡り・滝見橋・松濤の滝などが配されています。

池上本門寺と言えば、明治43年に五重塔で新種として発見された蘚類の「ホンモンジゴケ」が有名です。これはセンボンゴケ科に属する蘚類の苔で、普通であれば苔や生物にとって有毒である銅で汚染された土壌でも生きていられる、「銅苔」と呼ばれる種の仲間なのです。

境内を散策すると各所に苔を見ることができますが、やはり松濤園の中が最も苔が生育している場所になっています。ここには、実にいろいろな苔が繁茂しているのです。

園の中央にある池を左手に行くと、石畳の歩道の間にはアオギヌゴケ科の苔・コスギゴケ・ナミガタタチゴケなどが群生しています。他にチジミバコブゴケ・フタバネゼニゴケ・ミカヅキゼニゴケなども庭園の中にその居場所を見つけているのです。

アオギヌゴケ(青絹蘚)はキンキヒツジゴケとも呼ばれる蘚類の苔で、見た目は杉の葉のようです。コスギゴケ(小杉苔)もその名のとおり小さな杉の葉の姿、ナミガタタチゴケはスギゴケ科でやはり杉の葉に似ていて、いずれもその愛らしい形に心癒されます。

チジミバコブゴケ(縮葉瘤蘚)もまた蘚類の苔で、その名のとおり縮れた葉が特徴で、見た目が可愛いものです。これに対して、フタバネゼニゴケ(ニ羽銭苔)やミカヅキゼニゴケ(三日月銭苔)などの苔類の苔の葉は、ザラザラした感じの爬虫類っぽい見た目で、一般的にはあまり人気がありません。

しかし、苔マニアの中にはこのミカヅキゼニゴケを可愛い苔の部類に含めていたりもします。確かによくよく見てみると、葉の上の三日月型の無性芽器が可愛く見えなくもありません。

池上本門寺へは、東急池上線池上駅から歩いて10分、都営地下鉄浅草線西馬込駅からなら12~15分、JR京浜東北線大森駅か蒲田駅から20分くらい東急バスに乗れば、本門寺前バス停から徒歩5~10分で行くことができます。

車で行くという場合には、首都高速目黒線戸越出口から横浜方面へ15分ほど、首都高速羽田線羽田口から環状八号線と国道1号線を使って20分ほど、東名高速東京インターチェンジから環状八号線と国道1号線を使って25分ほどで行くことができます。

但し松濤園の見学は、限られた時期に行われる一般公開でしか叶いませんので、その情報にはしっかりアンテナを張っておかなければならないのです。