【スナゴケ】苔玉などに使われる日本全国にある長卵形の蘚類の苔

【スナゴケ】とは、マゴケ植物門 マゴケ綱 ギボウシゴケ目 ギボウシゴケ科 シモフリゴケ属に分類される、コケ植物の蘚類の苔です。苔玉などに使われ、日本全国にも広く分布し、長卵形をしています。

漢字で書くと「砂苔」となり、その字が表わすとおり砂地に生える苔という意味を持っています。なにか殺風景なイメージを持った名前ですが、意外にもその花言葉は優しく深いもので「母の愛」とされているのです。

通常は日当たりが良くて湿っている土の上や岩の上に群落をつくりますが、土が無くても育てることができるので、緑化のための資材として人気となっています。スギゴケとは違って花びらのような形の黄緑色の葉は、本当に花が咲いたようにも見えてしまうのです。

時にはハチが間違えて集まって来たという話もあるようで、ただの緑化のための材料だけでなく、花のように愛でるために栽培してみるのもいいかもしれません。園芸用としては、「エゾスナゴケ」をスナゴケとして扱うことが多く、他には「コバノスナゴケ」・「ナガエノスナゴケ」なども使われることもあります。

スナゴケは比較的栽培の容易な苔と言われています。それは、スギゴケなどの一般的な苔と比べた場合、その特徴が少し違っているからです。

例えば、一般的な苔は日陰或いは日陰を好みます北向きに生育しやすいのですが、スナゴケは日向を好み南向きになると元気が出ます。そして、苔には必須の水分・湿気に関しても、一般的な苔に比べて乾燥に強いという利点があるのです。

これは、周囲環境が乾燥してくると、それまで花のように開いていた葉を筆のように閉じて、まったく別物の様な形状でガードに入るのが功を奏しているのです。こうしてスナゴケは、暑い場所だけでなく寒さにも強く、砂以外にも石・ガラスなどの無機質の基盤であっても活きていくことができるスグレモノとなっているのです。

スナゴケを使った緑化事業は多くの企業で行われていて、それぞれに特徴のあるアイテムが生み出されています。例えば、「屋上・屋根用コケボード」・「モスフラット」・「モスコート」などがあります。

「屋上・屋根用コケボード」とは、「モス山形」という企業のもので、高強度発砲スチロールとスナゴケを一体化させたものです。自分の20倍もの水を保つことができるスナゴケの能力を最大限に生かして、トタン屋根・折板屋根・スレート屋根・駐車場などの緑化に効果を発揮するそうです。

「モスフラット」とは、「菱井商事株式会社」という企業のもので、スナゴケやハイゴケを使った超軽量の苔モジュールです。屋上の緑化はもちろんのこと、建物壁面にも最適で、公園・庭園・道路中央分離帯・道路防音壁や法面・河川敷法面と、幅広く採用することができると言います。

「モスコート」とは、「株式会社パレス」という企業のもので、スナゴケを使った室内緑化パネルです。裏面にマグネットが付いているので設置・移設が簡単で内装制限に対応、水やりや刈込み不要の手間いらず、苔のきれいな緑色がリラックス効果を発揮して、心を癒してくれることでしょう。