【苔玉】心安らぐインテリアの定番・鉢の要らない盆栽のようなもの

【苔玉】とは、植物の根を肥料を混ぜた土(用土)でボール状にし、その表面に苔を貼り付けたものです。心安らぐインテリアの定番であり、鉢の要らない盆栽のようなものなのです。

緑化にも利用されるスナゴケやハイゴケ、それにシラガゴケ類が主な苔玉の材料です。つまり、苔玉は小さな存在ではありますが、緑化に繋がる重要なアイテムでもあるのです。

盆栽では鉢の中を小さな地面に見立てて、土を用いた草木の育成を行ないますが、その鉢の中に根を隙間なく張り巡らせる「根洗い」という手法が、苔玉構造の基本となっています。張り巡らされた根は鉢が無くともその形を保てるため、根に土ごと糸を巻きつけて球状にして苔玉に生まれ変わらせます。

元々苔盆栽に熟通した海地勲さんが、2002年以前から苔玉を作り始めていて、日本各地で苔玉教室を開いて苔玉を広めているのです。そんなこともあって、苔玉は苔ブームの重要な1ジャンルとなっているのです。

今ではブームに乗って、苔玉は簡単に購入することができるうえ、それを作るキットも多数販売されています。しかし、もう少し苔玉に凝ってみたい人は、自分で材料を準備して作ってみるのも良いでしょう。

まず準備するものは、葦(あし/よし)が長い時間かけて堆積してできたというケト土をソフトボール大、自分好みの苔、盆栽なので植え込む植物としての観葉植物か山野草、小粒の赤玉土・山野草の土・テグス糸或いは黒い化繊糸となります。

手始めにケト土7に対して赤玉土を3の割合で混ぜ合わせてこねるのですが、この時にケト土に混じりこんでいる小枝・ゴミなどを除去しておきます。そして、耳たぶくらいの軟らかさになるまでこねたら、自分の思い描く完成形より若干小さめの泥団子にしましょう。

次に泥団子の上に窪みを付けてお椀上にし、そこに山野草の土を入れ準備した植物を植えこむのです。この時、山野草の土の量の入れ過ぎには要注意で、植え込む植物の伸びすぎたり傷んだりした枝葉はカットしておきましょう。

植物の植え込みで大事なことは、これが盆栽で目で楽しむものだということです。どの方向から鑑賞するのかを考え、正面となる方が最も美しく見えるようにバランスを考えて植えていきましょう。

次に苔玉のメインでもある苔の貼り付けですが、この苔は必ずしも1種類でなくともかまいません。購入してもよいですが、自宅近くにあるものですませてもまったく問題は無く、違う種類の苔を使うとかえって趣きが出てくるものです。

泥団子全体に苔を貼ったら、剥がれてこないようにテグス糸などでしっかりと固定します。ひと巻き目はX字に巻き、少しずつずらしながら全体を固定するのです。

苔玉が完成したら、好みのお皿などに飾って、お皿の水を切らさないように霧吹きを使って水を供給してあげましょう。苔の種類によっても違ってきますが、水やりは毎日とも2~3日置きとも言われていますが、苔の緑が美しい状態を保つように適度にやるのが良いのです。

苔玉をそれほど大きくしなくても良いのであれば、手の汚れるケト土を使う必要はありません。また、テグス糸などで固定する前に泥団子を布で包むという方法もあります。

今では、まったく土を使わない苔玉というものも存在していますが、苔の根を張る下地が紙や布を使うため、苔以外の植物の植え込みはできず、盆栽のようにすることはできません。それでも、苔だけでも楽しめるという人には、この「無土栽培」というものでも充分と言えるのです。