【苔の育て方 その1】苔にはどんなふうに水をやればいいのか?

【苔の育て方 その1】として、”苔にはどんなふうに水をやればいいのか?”というポイントを見ていきます。その基本は、自然の中にいるのと同じ環境で育てることにあり、雨が当たるベランダ園芸レベルで良いのです。

苔には水分を取り入れるための根というものがありません。見た目には根のようなものがあるのですが、あれは単に植物体を固定させるだけの「仮根」というものなのです。

では、苔はどうやって水分を植物体内に取り入れるのかというと、それは葉の部分からということになるのです。雨が降ると苔が元気を取り戻しているように見えるのは、乾燥して縮んでいた葉が目覚め、いっぱいの水分を補給できているからなのです。

基本的に苔への水やりは、自然の雨が降る程度に同じような状況で行なうのが良いのです。それはつまり、ベランダに苔を置いて自然の雨に当らせるくらいの軽い感じの育て方でも良いというレベルと言えるでしょう。

但し、お天気も気まぐれで、時によっては苔を疲弊させるほどに偏った状況になることもありますので、ちょっとは苔の様子を観察しながら、水分の調整をしてあげることも大事になってきます。

苔の様子がわかるのは春や秋の季節的に安定した良い時期に、日当たりや風通しの良い環境です。苔を一番良く育てさせるのは、”乾けばやる”といって乾いて葉が縮まった時に水を与えるという方法です。

苔の中には「ヤマゴケ(シラガゴケ類)」のように乾燥を好む種類もありますので、あまり水やりをすると成長が後退してしまうことがあります。逆に、通常の水分を好む苔では乾燥によって成長が阻害されてしまうものなのです。

苔はベランダ以外にも庭で育てたり(自然に群生していたり)と外で生育する場合と、苔玉や苔盆栽として室内で育てる場合があります。水やりは、外か室内かということでその方法は違ってきます。

外での水やりには、季節・地域・時間帯・水の量がポイントになってきます。苔の種類によって湿潤か乾燥を好むものがあり、季節や地域による温度・湿度の違い、土壌の保水力・排水性などが、水やりの良し悪しを左右するのです。

一日の中でいつ水やりをすればいいのかというと、日陰を好む苔は気にすることはないのですが、好日性の苔には早朝か夕方に水やりをしなければなりません。特に夏などは炎天下で蒸れや焼けを起こさないように水分を放出している状態にあるため、かわいそうだからといって水やりをするのは厳禁なのです。

季節的には、3月ともなれば苔も育ち始めますので、地域によっては最高気温10度を目安にたっぷりと水やりをしても良いでしょう。また、新芽は乾燥にとても弱いものですので、霜柱で土から浮き上がっている場合には、軽く踏んであげて水やり効果が出るようにしてあげなければなりません。

室内での苔への水やりには、季節か外気温の影響はまず考えられません。しかし、エアコンの有る無しに関わらず室内は基本乾燥気味であるため、通常の苔にとってはけっこう厳しい環境であると認識する必要があります。

手の平サイズの苔玉や苔盆栽であれば、こまめに霧吹きで水分を与えるというのもありかもしれません。しかし、できれば「腰水」といって苔の鉢を水を入れたお皿に浸したり、苔を保湿容器に入れてあげて、いつでも苔の周囲に湿気があるようにいてあげましょう。

なお、苔にやる水にもちょっとした心遣いが必要です。一般的には水道水を使うと思いますが、塩素抜きのために一昼夜は汲み置きすると良く、井戸水の場合は銅や鉄が混じっていないこと、雨水の場合は銅屋根を伝わったものでないことが使用する条件となります。